metooの源泉 映画「告発の行方」

huluなどの動画配信サービスのラインナップには世相が反映されることがある。大杉連さんが亡くなった時は特集が組まれたし、夏になると戦争映画特集があったりする。タイムリーな映画がチョイスされる。「告発の行方」も昨今のセクハラムーブメントの流れに乗った映画として取り上げられた感じがしなくもない。

もう30年も前の映画。しかし社会問題となりオスカーを受賞した作品でもしかするとセクハラムーブメントが起こる源泉だったのかもしれない。

映画は半裸の女性が酒場から出てきて助けを求めるシーンから始まる。「レイプされた」と女性は話し、そこから虚実入り混じった法廷劇が始まっていく。本人の証言や目撃証言だけで一人の女性がレイプ被害を立証する難しさが描かれた映画。ラストシーンの段階になったはじめてその時何が行われたのかということが回想され全容がわかる展開になっている。

劇中にこんなやり取りがある。

「怖いの?」(are you scared)

「私もよ」(metoo)

偶然なのか否かわからないけどこのmetooというセリフが30年後世界を席巻することになる。

主人公の女性はいわゆる品行方正な女性ではない。酒をやりマリファナを吸い、露出の激しい恰好で酒場で踊り、男を誘う。多くの男の中でヌードダンサーのように挑発して服を脱いでいこうとする。たまらず周囲の男が近寄りいちゃつきキスをしはじめる。そしてピンボール台に押し倒される。

「いや待って」「違うよの」(つまりその気でなあい)と女性は軽く拒否をする。

性犯罪は非常にデリケートで定義や判断基準も曖昧だけど、この映画だと明確な拒否のシーンがある。

「待って」「やめて」と言っても行為はエスカレートする。やがて女性は暴れて抵抗するが手を押さえつけられて口を塞がれ輪姦されてしまう。

ミソジニストである俺のフィルター越しに見てもこれはレイプだと思う(落ち度はあると思うが)

つまり30年前の「レイプ」の定義はまだ曖昧でもハードルが低いわけでもなく、はっきり第三者がわかるようなことだった。

そこには過度の女性優遇などなくてまだ過熱した正義もなかった。

でも現在はその定義が曖昧でただの強要でも刑事事件になってしまうような異様な状況だ。

告発の行方」という映画の現代版を作るのであれば「触られた」「セックスに誘われた」その程度のことで「告発」されるような内容になるかもしれない。